2016年8月
恒川光太郎/著 KADOKAWA
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あらすじ
道端で突然引かされたくじによって、異世界へと飛ばされた斉藤夕月は、何もわからないなか与えられたスターボードで『10の願い』を叶える力を持つスタープレイヤーとなる。少しずつ状況に慣れていき、スタープレイヤーとしてたくましく生きていく夕月。一つずつ願いを叶えてゆきながら、やがて夕月自身も様々な葛藤や変化を受け入れていく。
恒川光太郎の異世界ファンタジーの新シリーズ。
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おすすめポイント
普通の生活から一変、異世界でのゼロからのサバイバル生活を始める夕月のたくましい行動力に引き付けられ、一気に物語の世界へ入り込んでしまいます。使いようによって無限の可能性があるスターボードと『10の願い』を夕月はどう駆使していくのか、胸躍らせながら夕月の行動を追いつつ、もし自分なら…と共に挑んでみたくなる冒険ファンタジーです。欲望とは本当に人それぞれなのだと気づかされる一冊。さてあなたなら、何を願いますか?
by緑が丘図書館 猫キック
降田天/著 宝島社
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あらすじ
主人公「ぼく」の通う小学校3年1組では「マキ」が女王のように横暴に君臨している。とりまきの女子児童には「マキ」との親密度によって階級があり、誰も逆らうことが出来ない。しかし、4年生になって東京から「エリカ」が転校してくるとクラスの雰囲気がかわりはじめる。そして事件が…。
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おすすめポイント
冒頭から描かれている教室でのやりとりからクラスメートの階級制が生々しくリアリティをもって伝わってきます。文章が巧みで、このクラスの生徒になって立ちすくんでいるような気さえしてきます。ストーリー展開も速く、作者の創り上げた舞台へとぐいぐい引き込まれます。ラストに向かうまでには、あっと思わせるどんでん返しが。
最後まで読まなくては眠れないーそんな作品に久し振りに出会えました。幼いが故の残酷性にしろ、他人への悪戯はいつか自分に返ってくるということが心に残ります。
第13回「このミステリーがすごい!」の大賞作。
by緑が丘図書館 MO
架神恭介/著 筑摩書房
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あらすじ
小学校5年生のひろしくんが、ふくろう先生に教わった「君主論」を使ってクラスをまとめていくお話です。ドッジボール大会やマラソン大会などをとおしてケンカしたり仲直りしたりします。果たして「君主論」は役に立つのでしょうか。
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おすすめポイント
「君主論」とは、16世紀のイタリアでユキャベリが書いた政治学の名著です。君主とはどうあるべきかが書かれていて、世界中の王様や政治家たちに読み継がれ、現代では会社や組織のリーダーが参考にしています。そんな古典が身近な学校のクラスの話を通して楽しく学べる本です。政治学なんて難しそうと思うかもしれませんが、気軽に読めるので、ぜひ手にとってみてください。
by緑が丘図書館 ST