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2016年10月

「Teensおすすめ本」では、各図書館のTeensコーナー担当が毎月オススメの本を紹介していきます。本の書名をクリックするとその本の検索結果詳細にジャンプします。

神様の御用人 1

浅葉なつ/著 KADOKAWA

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あらすじ

 ある日突然、神様たちの御用を聞いて回る“御用人”の役目を狐神から命じられたフリーターの良彦。古事記や民話に登場する神々から、様々な無理難題を言いつけられる。特殊能力や不思議な力を放つ道具も持っていない、ごく普通の人間が、秘めたる願いを持った神様たちにできること、それは…。そして、神様との出会いによって、良彦自身も少しずつ変わり始める。

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おすすめポイント

 古事記というと、ちょっと抵抗がありますよね。でも、因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)や、八岐大蛇(やまたのおろち)など、みなさんもよくご存じの神話が多く収められています。神というと、全知全能、畏れ多いもの、そんなイメージがありますが、神様だって人間と同じように、わがままで自分勝手。でもそれは、自分の利益のためでなく、人々を思うが故。神様と人間の繋がりと絆が感じられ、身が引き締まる思いがします。某図書検索サイトでは、“古事記”と入力すると、この「神様の御用人」が出てきます。この本から、古典に親しめるようになるかもしれません。

by緑が丘図書館 キラキラ

昨夜のカレー、明日のパン

木皿泉/著 河出書房新社

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あらすじ

 7年前、25歳で死んだ一樹。一樹のいない家で、遺された嫁・テツコと共に暮らし続ける一樹の父・ギフ(義父)。血はつながっていないけれど「家族」となった2人と、彼らをめぐる人々の何気ない日常を、優しくユーモラスに切り取った連作小説。第11回本屋大賞ノミネート作品です。

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おすすめポイント

 朝目覚めて、ごはんを食べて今日も生きていく― そんなあたりまえの暮らしに、大切な人を失った悲しみが少しずつ少しずつしみ込んでいく様を丁寧に描いています。感傷的でなく、むしろユーモラスな日常の描写が温かく、何回も読み返したくなる1冊です。

by緑が丘図書館 かっぱ

檸檬

梶井基次郎/著 新潮社 新潮文庫

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あらすじ

 心が押さえつけられ、鬱々とした日常を送る「私」。好きだった文具書店の丸善さえも重苦しく感じるようになる。ある朝、果物屋で見かけたレモンに心惹かれ、一個買い求めると、いくらか心が軽くなったので丸善に行ってみることにした。しかし入ってみるとまた急に気が重くなってしまった。そこで私はあるアイディアを思いつく。それはレモンをそっと本の上に置いてそのまま店を出ることだった。

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おすすめポイント

 さて、このあらすじで、「読んでみたい!」と思う人はいないでしょう。それでもおすすめする理由とは、いつか「良い」と思うために今読んでおくべき本だと思うからです。筆者自身、高校生の頃に読みましたがさっぱりピンときませんでした。しかし年を経て読み返すと、とても味わい深い「良さ」が分かるようになりました。若かりし頃にピンとこなっかった記憶と重なり、より一層のノスタルジックな感動を呼び起こしてくれます。

by緑が丘図書館 青い鳥