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2017年1月

「Teensおすすめ本」では、各図書館のTeensコーナー担当が毎月オススメの本を紹介していきます。本の書名をクリックするとその本の検索結果詳細にジャンプします。

桜の森の満開の下・白痴

坂口安吾/作 岩波書店

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あらすじ

 美しいといわれる桜の花も昔は恐ろしいものと思われていた。満開の桜を恐れる「山賊」と物怖じしない「女」が、満開の桜の下へ差しかかったとき、女は鬼と化して山賊の首を絞めはじめる。山賊は無我夢中で鬼の首を絞め返し、殺してしまうが、気づくとそこには元の女が横たわり…。「桜の森の満開の下」他13篇を収録。

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おすすめポイント

 山賊と、美しくも残酷な女の物語ですが、重厚な、現代的に言えば「ヘヴィ」な描写でつづられ、読み手は知らず知らずその幻想的な世界にぐいぐいと引き込まれてしまいます。いつもと違う感覚を味わえる、不思議な読書体験ができるでしょう。

by緑が丘図書館 青い猫

スズメ ~つかず・はなれず・二千年~

三上修/著 岩波書店

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あらすじ

 どこにでもいる"普通"の鳥、スズメ。でも、その姿や生態について案外知らないことも多いのでは?そんなスズメの素顔をわかりやすく楽しく紹介しています。

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おすすめポイント

 我が家では、冬の間庭に野鳥のための餌台を作るので、毎朝スズメたちがやって来ます。よく見てみると、案外強そうな顔をしているなとか、北風に吹かれて、首元がモフッとふくらんで可愛い!など、思わぬ発見があります。じっくり観察したり、本などでその生態を知ることは、何気ない毎日の中で、案外大きな幸せに繋がるのでは…なんて感じます。
 歴史や生活を知ることでいつも身近にいる小さなスズメへの、愛おしさがいっそうつのります。

by緑が丘図書館 麦

アー・ユー・テディ?

加藤実秋/著 PHP研究所

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あらすじ

 フリーターの和子(24才)がフリマでひとめ惚れしたクマのあみぐるみ。しかし、ミル太と名付けた「その子」の“中身”は、昭和生まれの刑事・康夫(59才)だった!  康夫の霊からミル太を解放するために、和子は康夫が追っていた事件を調べることになる――相棒のミル太とともに。

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おすすめポイント

 初めのうちは自分のことばかりだった和子が、捜査の過程で色々な人の話を聞き、康夫と遠慮のないやりとりをするうちに、他の人に“思い”を“向ける(=やる)”ようになり、変わっていきます。「思いやり」という言葉の意味が分かる本です。そう書くと真面目な本のようですが、内容はユーモアミステリーです。特に、康夫とのやりとりには実在の人物や物の名前で昭和的な小ネタが盛り込まれているので、お父さんやお母さんに「○○って何?」と聞いてみると、会話が盛り上がるかもしれません。

by緑が丘図書館 おく姉