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2018年2月

「Teensおすすめ本」では、各図書館のTeensコーナー担当が毎月オススメの本を紹介していきます。本の書名をクリックするとその本の検索結果詳細にジャンプします。

珈琲店タレーランの事件簿 1

岡崎琢磨/著 宝島社

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・珈琲店タレーランの事件簿1の表紙画像

あらすじ

 主人公が京都の一角にひっそりと佇む珈琲店「タレーラン」を訪れる所から物語が始まります。偶然入ったその店で主人公は長年追い求めてきた理想のコーヒーと出合います。そのコーヒーは女性バリスタ切間美星(きりま みほし)が入れていました。主人公はその店に足繁く通ううちに、お店に持ち込まれる日常のちょっとした謎を、美星と一緒に解き明かしていくようになります。しかし美星には誰にも言えない秘められた過去があり…。

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おすすめポイント

 主人公と美星の軽妙な会話が楽しく、出てくるキャラクターが魅力的なので読んでいくうちに物語の中に入り込んでしまいます。物語が進むにつれ主人公や美星のことが解っていき、最後に美星の過去に関わっていく主人公がカッコよく見えてきます。また、物語の中で所々にでてくるコーヒーに関する知識が、ミステリーの中でのブレイクタイムになり、気軽に読めるようになっています。読み始めると早く次のページを見たくなるそんな本です。

by緑が丘図書館 虹

サラスの旅

シヴォーン・ダウド/著 尾高薫/訳 ゴブリン書房

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ サラスの旅の表紙画像

あらすじ

 14歳のホリーは、イギリスの里親のもとから逃げ出して、アイルランドにいる母親に会いにいこうとします。金髪のウィッグをつけて、自分ではない誰かになって、夢見た地を目指しましたが、その果てに見つけたものは理想の地や自分ではありませんでした。結果、つらい過去を思い出す旅になりましたが、彼女が最後にたどり着いたその場所は、希望の見える決して悪くない場所でした。

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おすすめポイント

 ホリーの心の葛藤、寂しさ、痛々しさから目が離せません。きっと、こんなはずじゃない「いま」から逃げ出したくなったり、「いま」の自分は本当は違うのだと、壁にぶつかったように立ち止まる10代は多いのではないでしょうか。その様な状況のもと、ホリーの自らの過去を引き受ける勇気、知る勇気、そして「いま」という壁をのりこえようとする勇気に感動を覚えます。特にホリーと同世代の皆さんに読んでもらいたい作品です。

by緑が丘図書館 まっPi

うふふな日々

あさのあつこ/著 PHP研究所

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うふふな日々の表紙画像

あらすじ

 作家あさのあつこさんの日々の出来事や思い出を綴った本です。これだけだとただ淡々としたもののように思われますが、大変アクティブな内容になっています。大掃除や旅行といった日々の風景、妄想、学生時代や家族の思い出などと、それに対する悪友や家族からの容赦ない一言。何気ない生活の一コマがまるで漫才のように楽しく描かれています。

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おすすめポイント

 大掃除の最中にアルバムを見て手が止まってしまい、声をかけられたら3時間も経っていた。冬場の深夜、霧が出てきた景色を見てホームズのいたロンドンを妄想する。――そんな著者に共感したりツッコミを入れたりしてしまいます。また、場面ごとの描写がきれいで、わかりやすく、頭の中にその風景が浮びあがってきます。読むと元気になるエッセイ集です。

by緑が丘図書館 ブリッジ