2020年2月
香月日輪/著 KADOKAWA
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あらすじ
岬にたたずむ黒い塔。お化け屋敷みたいなその塔は、鎖と南京錠で封印されているはずでした。ところがある日、小学生の龍神(たつみ)は引き寄せられるように塔に入ってしまいます。そこには、龍神が生まれる前に亡くなったおじいちゃんが住んでいました。しかも、その塔にはもっと驚くべき秘密もあって……。幽霊のヘンテコなおじいちゃんとの出会いが、龍神の代わり映えしない日常生活を大きく変化させていきます。シリーズ第一巻です。
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おすすめポイント
家族と生活していて、「居心地が悪いな」と感じたことはありませんか? この本の主人公「龍神(たつみ)」は、勉強もスポーツも良くできる弟と、その弟を尊敬する妹、頼もしく格好の良い父と、美人で優しい母と暮らしながら、いつも心に鬱憤(うっぷん)と悩みをかかえていました。それを変えてくれたのが、『魔法の塔』に住むおじいちゃんでした。おじいちゃんは、龍神に「人間として今後どのように生きていくかを勉強すること」の大切さや、心や肌で感じることの深さなどを教えてくれます。色々なことが龍神を通して伝わってくる一冊となっています。
by緑が丘図書館 如月
村山早紀/著 げみ/イラスト 立東舎
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あらすじ
丘の上のゆうえんちで、ある夜少年はおじいさんと出会います。 そこで、51年に1度桜の花が咲くころ、宇宙の亀が地球に卵を産みに帰ってくるという不思議な話を聞くことに……(『春の旅人』)。他2編。
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おすすめポイント
切なく、命のつながりを感じられる表題作『春の旅人』など ファンタジックな世界が楽しめます。 イラストレーター「げみ」の優しいタッチのイラストとともに 癒される一冊です。
by緑が丘図書館 momo
万城目学/著 文藝春秋
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あらすじ
税金の無駄遣いを調べる会計検査のために大阪を訪れた調査官の3人。実態が掴めない社団法人OJOの検査を進めるうちに、リーダーの松平は、大阪の街全体が隠し持つ秘密『大阪国』に通じる扉を“文字通り”開いてしまう。同じ頃、『大阪国』の人々が守ろうとしている、とある人物は、あるいざこざに巻き込まれていた。そしてある日の夕方、『大阪国』の人々は、彼らの国と「守るべき存在」が危機にさらされたと知る。彼らが立ち上がった時、大阪はその機能を全停止し、特別な夜が始まる……。
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おすすめポイント
誰も口には出さないけれど、大阪の人はみんな知っている『大阪国』とは? 会計調査官と共に、読者も少しずつその存在に近づいていきます。誰も見たことがなく、本当にあるのかも分からない『大阪国』をなぜ人々は信じて守り続けるのか、その理由も素敵です。豊臣の時代から本当にこんなことが続いているとしたら……と、想像するとワクワクします。
by緑が丘図書館 A332